断りもせず、奴はやって来た。
そう…確かに予兆はあったんだ。
…奴が来る前の数年間は、考えてみると異常な日々だったかも知れない。
…
今日も仕事用の携帯が鳴り響く…
ステアリングを握り、ハンズフリーでアポイントを取って行く。
今日も頼むぜ相棒、事故らないでくれよ…
ナビを見ながら、電話対応し、ギリギリのスケジュールをこなす…
どうしても電話に出れない時もある…当り前だ。
そうすると、決まって事務所から電話がかかってくる。
「お客が連絡がとれないと言ってます。至急連絡して下さい。」
…そんな留守電が入る。留守電を聞いている間にも、また留守電が入る…
やれやれ…
携帯ってやつは、20世紀最悪の発明かも知れないな…
…
…奴が近づいて来る。私に気が付いたようだ。
…
なにか変だ…
耳鳴りが大きい…
私は10年以上前から突発性難聴を患っているから、耳鳴りはいつもの事だが
…音が大きくなってないか?気のせいか?
病院へ行った方がいいのか?
…面倒くさいな。せめて休みの日は寝ていたいしな。
…!
不意に視界が歪む
…目眩?立ちくらみか?
最近忙しかったからな。私ももう若くないしな。
まあそのうち治るだろう
…
…奴は私の家の近くまで来ていた
…
ある日、仕事で少し大きめのミスをしてしまった。
私としたことが…
ちょっとやっかいな案件だったので、前もって逐一上司には報告していた。
私としては気が進まないが、上司からGOサインが出ていたから仕方なく続けていた案件だった。
役員も参加する、月1回の会議の中で…
私のミスが議題に上がった。
私がミスの件を説明する前に…
上司は、
私から、何の報告も受けていないと言い放った…
「そういう人間」だと認識していたつもりだったが…
軽く失望した…
心のどこかで、まだ彼に期待していた自分がいたようだ。
彼はきっとこれからも嘘をつき、
嘘に嘘を塗り固めて生きて行くのだろう。
哀れな人間だ。
…
…奴は、ドアの前まで来ていた。
…
だめだ…
あきらかに体調がおかしい。
めまいがする。
食欲がない。
…また車の中で携帯が鳴る。
何度も携帯を投げつけそうになる
「×××ー!」
思わず苛立ち、車の中で叫んでしまった
汚い言葉を発してしまった…
耳鳴り、うるせえ…
頼むから静かにしてくれ。
ちょっと無理かも知れないな…
相談しても無駄だが、上司に伝えよう。事故を起こしてからでは遅い…
相談した上司から帰ってきた言葉は…
「とりあえず病院行けば?」
…いつ?
彼は私のスケジュールを、見たことがないのか…
なんのために報告書を出してあるんだ。お前が出せと言ったんだろうが。
…
そして…
とうとう…
振り返れば、奴がいた…
…
3年前の今日…
凍えるほど寒い夜、列車の中…
躊躇なく
奴は私に襲い掛かった…
…
あれから奴は、何度も現れては
何度も私に襲い掛かった。
時に激しく、時にあざけ笑うように優しく、時には嬲る様に…
そして私の、運命の歯車まで変えてしまった。
どうやら奴は私の事が気に入ったようだ。
おいおい、いい加減にしてくれ。
おまえに出会うまで、私はおまえのことなど、まるで知らなかったのだよ。
おまえに私の未来を変える権利があるのかい?
…そう、私の未来が、運命が、
たしかに変わった日、変えられてしまった日
それが3年前の今日…
2月22日…
…
…
。。。
。。。
にゃんにゃんにゃんの日~!(=^・^=)/
なんてね~!
…
いかがでしたでしょうか?
ちょっと、いつもとは趣向を変えた文体でお送りしたのですが…
いや~、ちょっと自分に酔っちゃいましたねえ。お恥ずかしい。
まあ、3年前の今日、初めて回転めまい発作が起きたわけですよ。
今日で私のメニエール病歴はちょうど3年となりました。
最初は何が起こったのかわからずパニックでしたけどね。
今となっちゃ仕事が原因なのか、他の事が原因か誰にもわからないですけどねえ。
この頃は治ると思ってたんですけどね。最初の診断では、前庭神経炎だって言われてたし…
まあ、この日、メニエール病に罹患していなかったら
ブログも、おそらくはSNSさえも手を出していなかったと思いますから
不思議なもんです。